News&Blogお知らせ・ブログ

HOME > Blog > 四国の空き家問題と中古住宅のリノベーション
AllNewsBlog
Archive 
Blog
2022.11.07

四国の空き家問題と中古住宅のリノベーション

ここ数年の間に「空き家問題」と言う言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
日本全国的にも空き家問題は注意深く見ていかなければならない社会問題の一つですが、特に私たちが暮らす四国の空き家問題は深刻さを増しております。

普段生活する上では、特に何も感じないかもしれませんし、私自身も建築・不動産業界に身を置いていなければ、住宅のマーケティングの仕事をしていなければ、特に気にすることなく、スルーしていた内容かもしれません。

今回は最新の統計データをもとに、四国の空き家問題とそれを解決する手段の一つとしての中古リノベーション住宅の魅力について記載していきます。

 

突然ですが、皆さんは四国4県の空き家率が全国でどのくらいの順位に位置しているかご存知でしょうか?
下図は総務省統計局が公表している、平成30年度の全国の空き家率TOP10の都道府県ランキングです。
もちろん、順位が高ければ高いほど、空き家率が一番高い都道府県であることを意味しております。

※参照:総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計 結果の概要

 

ご覧の通り、四国4県全てが全国の空き家率TOP6に入ってしまっております。 ちなみに平成25年度の統計データではTOP5に四国4県が入っておりました。 5年ごとに更新される統計情報ですが、四国4県においては、ここ5年間で特に大きな変動はなく、高い空き家率を叩き出していることがわかります。 ちなみに、空き家率とは総住宅戸数に占める空き家の数を意味しており、単純な空き家数とは異なります。

 

2.なぜ四国の空き家率が高いのか

ここからは、私自身の主観も入りますが、四国の空き家率が高い要因を考察していきます。

・地方から都市部への若い世代の転出

私自身は20代の頃に都市部から愛媛県に移住してきましたが、実際は逆のパターンが多く見受けられ、四国の若い世代を中心に、高校や大学卒業後に関西圏や首都圏といった都市部に転出する人々が一定数います。
これは四国に限った話ではなく、都市部への若者の流出という課題は、いつの時代も地方の悩みの種となっております。
それにより、人口の減少・少子高齢化などを引き起こし、総住戸数に対する空き家数が増加してしまいます。

 

・生活スタイルの変化や相続の問題

例えば、一昔前は「実家は子が継ぐのが当たり前」と言う感覚が強くありましたが、現代では、結婚して親と2世帯で同居する選択肢よりも、親は親・子夫婦は子夫婦それぞれで住宅を持ち暮らす構図が基本となっており、実家に親と子夫婦が同居することは珍しくなりつつあります。
それに伴い、両親が亡くなった後、実家を相続したとしても実際に住むわけでもなく、売りに出すか、放置するかと言う形になり、空き家状態となります。

また、相続面で言えば、複数の相続人がいた場合、相続した家を売る場合に全員の同意が必要になったりと、ただでさえ争いの種となりやすい相続が絡むとめんどくさくなり、そのまま放置状態となり、空き家になってしまう可能性もあります。

 

・単純に需要と供給のバランスが崩れている

例えば東京や横浜など地価の高いエリアであれば、土地を購入するだけでもそれなりの費用がかかり、予算的に手を出せず、中古住宅を購入する選択を取る人たちも多々いらっしゃいます。
実際に、東京・横浜で働いていた時は、新築よりも中古リノベーションを選択するお客様は多くいらっしゃいました。
ただ、四国は比較的地価が安価で、ローコスト住宅を売りにしているハウスメーカーなどで家を建てれば、お手頃な価格帯で注文住宅が手に入ります。

当社の注文住宅の平均的な坪単価は60〜65万円くらいでローコスト住宅と大手ハウスメーカーの間くらいの価格帯ですが、土地・建物合わせて3,000万円台前半のお客様が多く見受けられます。
おそらく東京や横浜などの都市部で、同条件で注文住宅を建てようと思うと、最低でも1.5倍以上跳ね上がると思います。

ちなみに、ローコスト住宅だと土地・建物合わせて2,000万円前後もしくはもう少し安価にマイホームが手に入るのではないでしょうか。
そうなると、あえて中古リノベーションを選ぶことをせずに、注文住宅を希望するお客様が多いという現状があります。

 

3.空き家率増加に伴う問題

文頭でも少し触れましたが、空き家率が増加しているといっても、私たちの日常生活に何か問題が発生しているかと言われると、現状では、そうそう問題を実感することは少ないかもしれません。ただ、実際には下記のような問題が少しずつ進行しています。

 

・建物の倒壊の危険性

空き家状態が長く続いていても、自然に朽ち果てて土に還るものではなく、人工物が残ります。
徐々に傷んだ空き家は、次第に崩れ、倒壊の危険が増したり、屋根材などが飛散したりと、その敷地内だけの影響では済まなくなっていきます。

 

・不法占拠の恐れ

長い間空き家をそのままにしていると、不法占拠される恐れが生じます。また、そこをアジトに周辺地域における犯罪行為の拠点にされる可能性もあり、近隣住民は安心して生活することができなくなります。

 

・不法投棄を招く恐れ

長い間手入れのされていない空き家は、見た目的にも汚い状態になりがちです。
悲しいことではありますが、人間の心理的観点で見ると、綺麗な場所よりも汚い場所にゴミを捨てることに対する抵抗が低くなります。
そうして、一定の場所に不法投棄がされてしまうと「あそこにはゴミを捨てて良い」と判断されてしまい、さらなる不法投棄を呼びます。
空き家は、住んでいる人がいなく、捨てる側の心理的抵抗も少ないことからその温床になりやすい場所といえます。

 

・街の景観を阻害する恐れ

空き家が目立つということは、そこが「管理されていない地域」だという印象を住民や訪問者に与えます。
これは地域ブランドを大きく毀損するだけでなく、企業や人、旅行客などの誘致も望めなくなり、その地域の活性化を阻害してしまうことにつながります。

 

・草木の越境被害

戸建てには大抵庭があり、季節の良い時には数週間放っておくだけで、雑草がはびこります。樹木も刈り込まないと見苦しい外観となり、周囲に不快感を与え、また隣家の敷地に枝葉が越境、多大なる迷惑をかけることになります。

 

上記以外にも、「害獣・害虫被害」「放火を助長する可能性」「不法侵入の恐れ」などの問題も懸念されます。

 

・割れ窓理論

また、1982年にアメリカの心理学者ジョージ・ケリング博士が提唱した「割れ窓理論」という理論も空き家問題を語られる際によく取り上げられます。

割れ窓理論とは「一枚の割れた窓ガラスを放置しておくと、たちまち街全体が荒れ、スラム街と化し、犯罪増加にも繋がる」というものです。
つまりは、一枚の割れた窓ガラスを放置することにより、上記のような問題が発生し、街全体の治安が悪くなっていく可能性があるということですね。
このように、空き家が増える、空き家率が増加することにより、今後私たちの生活に多くのネガティブな影響を及ぼす可能性があります。

 

4.空き家問題に対する国の政策

空き家問題を危惧した政府は、住宅に対する政策について2001年頃から「既存住宅ストック重視」へと方向転換しました。
ちなみに、それ以前は新築重視、「どんどん新築を建てましょう!!」という政策でした。

また、2015年には空き家を適切に管理する目的で「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。
使用されていない空き家を放置しておくと、先述したような問題が発生する可能性があるため、政府はより踏み込んだ指導を行うために、このような法律を制定しました。

「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されたことにより、各市町村長は特に倒壊などの恐れのある「特定空家等」の所有者に対して、下記のような措置をとることができるようになりました。

  • 周辺の生活環境の保全を図るための助言又は指導
  • 助言又は指導後も状態が改善されない場合の周辺の生活環境の保全を図るための勧告
  • 勧告を受けた後も正当な理由なくその勧告に係る措置をとらない場合の状態が改善されない場合の命令

 

逆に言えば、空き家の所有者は空き家の管理等をしっかりと行わなければ、上記のような措置の対象になってしまう可能性もあるということを理解しておかなければなりません。
このように、政府も市町村と連携しながら、空き家問題に対する解決策を探っている状態です。

 

5.中古リノベーション住宅というマイホームの選択肢

このような空き家問題が蔓延る中で、当社が取り組んでいる事業の一つが中古住宅のリノベーション事業です。
リノベーションの魅力をより多くのマイホーム購入検討層の皆様にお伝えすべく、これまで活動してきました。

ただ、先述したように地域がら中古住宅よりも新築を選択するお客様が多々いらっしゃる中で、当社のお客さまにおいても、中古リノベーションよりも注文住宅を選択されるお客様の方が多い傾向にあります。

リノベーションを選択されたお客様のほとんどが、「古き良き日本家屋の雰囲気が残る家の方が良い」「新築よりもリノベーションの方が好き」といった感じで、最初からリノベーションに決めていたお客様が多い傾向にあります。
逆に「新築よりも中古の方が安いから」といった費用的な理由でリノベーションを選ばれた方はいらっしゃらなかったと記憶しています。

もちろん、本記事で新築を否定してリノベーションをゴリ押しするつもりは全くございません。
実際に当社自体もリノベーションだけでなく注文住宅も扱っております。
ただ、リノベーションにはリノベーションの魅力がありますので、これからもリノベーションの魅力をお伝えし、マイホームの選択肢の中にリノベーションを入れていただけるような活動をしていけたらと考えております。

 

6.最後に

今回は、四国の空き家問題と中古リノベーション住宅について記載させていただきました。
現在空き家を所有されている方で、管理がなかなか行き届いていない方は、ぜひこの機会に所有されている空き家についてお考えいただく機会になれば幸いです。

また、これからマイホームを検討される皆様においては、マイホームの選択肢の中に「リノベーション」を追加してみてはいかがでしょうか?
空き家問題云々を抜きにしても、リノベーションハウスは魅力的です。
新築では手に入らない、古き良き日本家屋の風情と現代の融合、広い庭、固定資産税の軽減など結構メリットがたくさんありますし、おそらく、皆様が思っているよりも自由に、自分達の好きな空間にすることができます。

下記、当社のリノベーション施工実績も記載しておきますので、気になる方は是非ご覧ください。

 

リノベーション施工実績

当社のリノベーションハウスの施工実績はこちらよりご覧ください。

一覧へ戻る